「平和」という言葉には、争いのない状態だけでなく、心穏やかな日常や大切な人との和解といった、普遍的な願いが込められています。自宅の庭にシンボルツリーを植えようと考えたとき、あるいは誰かの門出を祝うギフトを選ぼうとしたとき、その植物が持つ「意味」にこだわりたいと感じるのは、あなたの優しさの表れではないでしょうか。
ネット上には多くの花言葉が溢れていますが、なぜその植物が平和を象徴するようになったのか、その背景にある歴史や物語まで語られることは多くありません。本記事では、聖書や戦史といった信頼できる由来を紐解きながら、あなたの生活や贈り物にふさわしい「平和」を象徴する植物をご紹介します。
「平和」の花言葉を持つ代表的な植物とその由来
「平和」という花言葉を持つ植物は、古くから人々の祈りや国家の象徴として大切にされてきました。まずは、代表的な植物とその背景にあるキーワードを一覧で確認しましょう。
| 植物名 | 主な花言葉 | 由来のキーワード | 適した用途 |
|---|---|---|---|
| オリーブ | 平和、知恵 | 旧約聖書「ノアの方舟」 | シンボルツリー、鉢植え |
| バラ(ピース) | 平和、希望 | 第二次世界大戦の終結 | 花束、庭植え |
| デイジー | 平和、希望、純潔 | イタリア国花、太陽の象徴 | 花壇、鉢植え、切り花 |
| ギンバイカ | 平和、愛、祝杯 | ギリシャ神話、結婚式 | 庭木、生垣、ブーケ |
これらの植物は、単に言葉が割り当てられたわけではありません。それぞれが人類の歴史や信仰と深く結びついています。
オリーブが「平和の象徴」とされる理由|聖書『ノアの方舟』の物語
平和を象徴する植物として、世界中で最も広く知られているのがオリーブです。国連の旗にもデザインされているこの木が、なぜ平和の代名詞となったのか。その根源は、旧約聖書の「ノアの方舟」のエピソードにあります。
大洪水によって地上のすべてが押し流された後、ノアは外の様子を探るために一羽の鳩を放ちました。その鳩が持ち帰ったものこそが、オリーブの若枝だったのです。
オリーブの花言葉は「平和」と「知恵」です。「平和」の由来は旧約聖書の「ノアの方舟」の物語に基づいています。洪水の後、ハトがくわえてきたオリーブの枝を見て、ノアは地上に平和が戻ったことを実感したと言われています。
この物語において、オリーブは「神の怒りが収まり、地上に平穏が訪れた証」となりました。このエピソードから、オリーブと鳩の組み合わせは世界共通の平和のシンボルとして定着したのです。
歴史を刻むバラ「ピース」|戦火を越えて届けられた平和への願い
切り花や庭園の主役として愛されるバラの中にも、その名に「平和」を冠した特別な品種があります。それが「ピース(Peace)」です。このバラが誕生し、世界に広まった背景には、第二次世界大戦という激動の歴史がありました。
フランスの育種家フランシス・メイアンによって生み出されたこのバラは、ナチス・ドイツの侵攻直前、戦火を逃れるようにしてアメリカへと託されました。
第2次世界大戦中にフランスの育種家によって生み出され、アメリカに託された苗木がありました。その背景から戦争終結の際に「平和」の名で発表されたばらです。
1945年、ベルリン陥落の日に「ピース」と命名されたこのバラは、同年に開催された国際連合の設立会議において、各国の代表者に「世界平和を願う花」として贈られました。クリームイエローの花びらの縁に、柔らかなピンク色が差すその姿は、まさに戦後の希望を象徴する美しさを持っています。
日常に安らぎを添える「平和」の花々
オリーブやバラ以外にも、私たちの身近なところで平和のメッセージを伝えてくれる花があります。
デイジー(ヒナギク)
イタリアの国花としても知られるデイジーは、太陽の光を浴びて花開く性質から「平和」や「希望」の象徴とされています。素朴で可憐な姿は、日常の中にある平穏な幸せを思い出させてくれます。
ギンバイカ(銀梅花)
「祝いの木」とも呼ばれるギンバイカは、白く繊細な花を咲かせます。古代ギリシャでは女神アフロディーテに捧げられたとされ、「平和」や「愛」を象徴する木として、現在でも結婚式のブーケや新築祝いの庭木として人気があります。
平和の願いを形にする植物の選び方と贈り方
あなたが植物を選ぶとき、その「背景にある物語」を添えることで、一鉢の植物はより深い意味を持つようになります。シーン別の選び方のポイントをまとめました。
1. 自宅のシンボルツリーとして
新築や出産など、家族の新たな門出を祝うシンボルツリーには、オリーブが最適です。常緑樹であるオリーブは一年中緑を絶やさず、乾燥にも強いため、家庭の平穏が長く続くことへの願いを託すのにふさわしい木です。
2. 大切な友人へのギフトに
新生活を始める友人や、平和への想いを共有したい相手には、バラの「ピース」や、アンネ・フランクの形見として知られるバラ「アンネ・フランク」を贈ってみてはいかがでしょうか。花束に「このバラには、平和への願いが込められているんだよ」というエピソードを添えるだけで、あなたの想いはより深く伝わるはずです。
3. 室内で楽しむ安らぎ
大きな庭がなくても、鉢植えのデイジーや、オリーブの小さな苗木を窓辺に置くことで、日常の中に「平和」を意識するきっかけを作ることができます。
植物が持つ物語を知ることで、一輪の花や一本の木は、かけがえのない「願い」へと変わります。あなたの大切な空間や、愛する人への贈り物に、歴史が証明する平和のシンボルを選んでみませんか。その植物が育つとともに、あなたの周りにも穏やかな時間が流れることを願っています。