5月に入り、ようやくスギやヒノキの厳しい季節が過ぎ去ったとホッとしたのも束の間。「なぜか鼻水が止まらない」「目がかゆくて仕事に集中できない」といった症状に悩まされてはいませんか?
「もう花粉の時期は終わったはずなのに、風邪かな?」と疑問に思う方も多いでしょう。しかし、実は5月こそ注意が必要な「第2の花粉症シーズン」なのです。
この記事では、アレルギー専門医の視点から、5月に飛散する花粉の正体と、スギ・ヒノキ花粉症との違い、および今日から実践できる具体的な対策について詳しく解説します。
5月の花粉症、その正体とは?「スギが終わったのになぜ?」を解消
多くの方が「花粉症=春(2月〜4月)」というイメージを持っています。しかし、花粉は一年中飛散しており、5月にはスギやヒノキに代わる新たな主役が登場します。
5月になるとスギやヒノキの花粉飛散は落ち着いてきますが、代わって飛散のピークを迎えるのが「イネ科」の花粉です。
出典:大石しゅんけい耳鼻咽喉科
5月に感じる不快な症状の多くは、このイネ科花粉や、地域によってはシラカバ花粉が原因となっている可能性が高いのです。
5月に飛散する主要な花粉の種類と特徴
5月に飛散する花粉は、スギ・ヒノキのような「樹木」だけでなく、「草本類(草の花)」が含まれるのが特徴です。
全国的に注意すべき「イネ科花粉」とは?
5月の花粉症の代表格が「イネ科」です。具体的には、カモガヤやハルガヤといった植物が挙げられます。
イネ科花粉の最大の特徴は、スギ花粉のように数十kmも遠くまで飛散しないことです。飛散範囲は数百メートル程度と限定的ですが、道端や河川敷、公園など身近な場所に自生しているため、生活圏内で吸い込んでしまうリスクが高いのが厄介な点です。
北海道・東北で猛威を振るう「シラカバ花粉」
北海道や東北地方にお住まいの方にとって、5月はシラカバ花粉の最盛期です。シラカバは見た目こそ美しい樹木ですが、その花粉は強力なアレルゲンとなります。
特に注意が必要なのが、特定の食べ物に対する反応です。
シラカンバ花粉症の人は、リンゴ、モモ、サクランボなどのバラ科の果物を食べたときに、口の中がピリピリしたり、喉が腫れたりする「口腔アレルギー症候群」を併発することがあります。
まだ飛んでいる?「ヒノキ花粉」の残党
関東以西の地域では、4月下旬でヒノキ花粉のピークは越えますが、5月上旬までは少量の花粉が空中を舞っていることがあります。ヒノキに対して非常に敏感な方は、5月に入っても「まだ終わっていない」と感じることがあるでしょう。
地域別・5月の花粉飛散カレンダー
お住まいの地域によって、警戒すべき花粉は異なります。
| 地域 | 主要な花粉 | 飛散の状況 |
|---|---|---|
| 北海道 | シラカバ、イネ科 | シラカバがピーク、イネ科が開始 |
| 東北 | シラカバ、イネ科 | シラカバが終盤、イネ科が増加 |
| 関東・東海・近畿 | イネ科、ヒノキ(少量) | イネ科が本格化、ヒノキは終息へ |
| 九州 | イネ科 | イネ科が飛散 |
5月の花粉症、その症状と見分け方
5月の花粉症は、スギ花粉症と似た症状もあれば、特有の注意点もあります。
スギ・ヒノキ花粉症との症状の違い
鼻水、くしゃみ、目のかゆみといった「花粉症の3大症状」は共通しています。しかし、イネ科花粉は粒子が小さいため、気管支まで入り込みやすく、喉のイガイガ感や咳(せき)を伴うケースがスギ花粉症よりも多い傾向にあります。
5月の花粉症で注意すべき「口腔アレルギー症候群」
前述の通り、シラカバ花粉症の方は「口腔アレルギー症候群(OAS)」に注意が必要です。特定の果物や野菜を食べた直後に、唇が腫れたり、口の中や喉に痒みやピリピリ感が生じたりします。
シラカンバ花粉症の人は、リンゴ、モモ、サクランボなどのバラ科の果物を食べたときに、口の中がピリピリしたり、喉が腫れたりする「口腔アレルギー症候群」を併発することがあります。
風邪と花粉症、見分け方のポイント
「5月の体調不良が風邪なのか花粉症なのか分からない」という方は、以下のチェックリストを参考にしてください。
- 鼻水の状態: 透明でサラサラしていれば花粉症、黄色く粘り気があれば風邪の可能性。
- 目のかゆみ: 強いかゆみがあれば花粉症の可能性が高い。
- 熱の出方: 高熱が出ることは稀で、微熱程度なら花粉症でも起こり得る。
- 期間: 1週間以上症状が続く場合は花粉症を疑う。
5月の花粉症を乗り切る!効果的な対策と治療法
原因が分かれば、適切な対策を講じることができます。
イネ科花粉に特化した効果的な対策
イネ科花粉は「背の低い草」から飛散します。そのため、以下の物理的な回避が非常に有効です。
- 草むらや河川敷に近づかない: 飛散範囲が狭いため、近づかないだけで吸い込む量を劇的に減らせます。
- ジョギングコースの見直し: 緑の多い公園や土手での運動は、この時期だけ避けるのが賢明です。
- 帰宅時の衣服の払い: 衣服に付着した花粉を玄関前で払い落としましょう。
シラカバ花粉症の対策とOASへの注意
シラカバ花粉症の方は、外出時のマスク・メガネ着用に加え、食事にも気を配りましょう。もし果物を食べて違和感がある場合は、無理に食べず、加熱調理(ジャムやコンポートなど)にすることでアレルゲン性が低下し、食べられるようになる場合もあります。ただし、重症化のリスクもあるため、まずは専門医に相談してください。
症状が辛い時の市販薬と医療機関の受診
症状を抑えるためには、抗ヒスタミン薬の内服が一般的です。「アレジオン」などの眠くなりにくい第2世代抗ヒスタミン薬は、日中のパフォーマンスを維持しながら対策するのに適しています。
もし市販薬を数日使っても改善しない場合や、喉の腫れ・強い咳がある場合は、早めに耳鼻咽喉科やアレルギー科を受診しましょう。
アレルギー検査で原因を特定する
「自分の症状が何の花粉によるものか」を正確に知ることは、対策の第一歩です。最近では、指先からの少量の採血で、短時間で多くの項目を調べられる「ドロップスクリーン検査」などを導入しているクリニックも増えています。
原因が特定できれば、来年以降も「いつから対策を始めればよいか」が明確になり、精神的な不安も解消されます。
5月の花粉症の症状でお悩みなら、アレルギー専門医にご相談ください。正確な診断と適切な治療で、爽やかな5月の季節を快適に過ごしましょう。